固定電話を隠す企業
舛添要一氏が最近のメーカー対応に苦言を呈していたが、実は、企業の問い合わせ対応は電話番号の面からも年々悪化している。一昔前は企業のホームページには、必ずと言っていいほど「お問い合わせ先」の「固定電話番号」が掲載されていたが、最近、これがどんどんと消えて、Web上で問い合わせ先を見つけるのが困難となっている。すべての企業とは言わないが、業務上問い合わせが必要となることの多い企業で特に目立ち、これらには「固定電話」の代わりに「ナビダイヤル」が問い合わせ先として指定されていることが多い。良心的と思われる企業では、「0120」などの無料通話も用意しているが、ここへの通話も「携帯電話を除く」というのが大部分だ。
ナビダイヤルは安くない
ナビダイヤル「0570」の通話料は2024年1月から全国一律となったが、固定電話と携帯電話では異なる料金体系となっている。携帯電話からのナビダイヤル通話料は今回も値下げされておらず、以前と同じく20秒11円で、これは一般的な携帯電話の<廉価版>通話料金「30秒11円」(20秒換算で7.3円)よりも割高だ。問い合わせの振り分け過程(この過程はナビダイヤルではない企業もある)や、混雑していて待たされた場合には、さらに高額になり、10分通話で330円、20分なら660円という料金が請求される。これは普通に携帯電話を利用した場合(廉価版通話)よりも高く、「かけ放題」も適用されないため、はなはだ理不尽に感じられる。
企業は固定電話を公開せよ
携帯電話の通話料は高額になるため、「かけ放題」や「楽天リンク」を利用しているユーザーも多いが、ナビダイヤルはこの「かけ放題や楽天リンク」の対象外で、その料金は前述のように、いつもの携帯利用料金(廉価版通話料金)よりも高額となる。企業はなぜナビダイヤルというユーザーフレンドリーでないサービスを使うのだろうか。企業は固定電話番号を公開すればよいだけで、ナビダイヤルなど不要だ。0120などの無料通話が企業の負担になるなら、0120は廃止して頂いて結構だ。気の利いたユーザーは「かけ放題」や「楽天リンク」を利用して問い合わせるし、情報弱者が携帯電話からかけても、ナビダイヤルよりも安いことが多い(契約による)のだ。滅びゆく固定電話からの問い合わせは、元々通話料も安く、無料にする必要もないと思うが、どうだろう。
隗より始めよ、日本郵便
日本郵便の電話対応が全面的にナビダイヤル「0570」のみとなって久しい。経費削減(と不要不急の問い合わせ抑制)が目的なのだろうとは思うが、高齢化社会に本当にこれでよいのだろうか。オレオレ詐欺や何やかで固定電話を持たない高齢者も増えている中、高齢者の携帯電話から理不尽な電話代をむしり取ることにならないだろうか、公的企業である日本郵便には特に反省を求め、「隗より始める」精神を期待する。