コメ価格急騰に際して
コメ価格急騰に際して、備蓄米放出を躊躇し、(手遅れになった)放出に際しても、少量ずつ、かつ「入札制」(‥なぜ)で対応、価格を全く下げることのできない農水省に怒りと疑問を感じていたが、小泉農水大臣就任※¹で事態は急展開しそうだ。今後随意契約で廉価に放出すると、既に落札しているJAにはかなりの損失が出るだろう、このため(~「抵抗勢力」を抑えるため)、楽天を巻き込んだのは、オヤジ純一郎元首相譲りの技で見事といえよう。今回ばかりは小泉進次郎氏を見直した。
なぜ入札制だったのか
米に限らず「物」の値段が上昇を続けている時に、大口の所有者が「入札」で物を配布して、物の価格が下がるはずがない。廉価に供給したいと考える「善意の応札者」がいたとしても、まず間違いなく落札できないだろう。これが、今回の備蓄米放出での第1の失策だ。(「入札に限る」という法的根拠でもあるのだろうか)
損失は予算化されている
備蓄米放出で政府が利益を得るというのは奇妙な話だ。備蓄米の仕組みについては、備蓄ナビ※²に詳しいが、それによると、備蓄米は「ローリングストック方式」で5年かけて古いものと入替えており(毎年およそ20万トンを積み上げ)、5年経過後は飼料用米などとして販売または子ども食堂などに無償供与されているという。備蓄米の維持管理には、年間490億円の経費(倉庫などの「保管経費」が113億円、マイナスの売買損益が377億円)がかかっていて、当然のことながらこれらは予算化されている。国民生活を犠牲にしてまで、利益を上げる必要はない訳で、この事実(予算化)を積極的に公表しないことが第2の問題と言える。(経費は2次資料である備蓄ナビから引用)
備蓄米は災害時に必要なものでむやみに減らせない ─ というが、年間490億円分のほとんどが使われていない
多くの国民がこの災害時という説明に納得させられていて、マスコミ報道にもこの精神を垣間見ることができる。意図的か(忖度か)と疑うほどだ。NHKの調査※³によると、備蓄米制度が始まった2011年以降、放出されたのは「2回のみ」で、各々「4万トン」と「90トン」と少量(保有備蓄米は年間100万トン)だった。小泉進次郎氏も「よく、災害があるときの不安を持たれている方がいるが、熊本の地震と東日本大震災の経験で、どれだけ備蓄米を使ったかというと、正直申し上げて、心配するほど備蓄米は出ていません」と述べている。これが第3の問題で、情報はきちんと公開すべきだ。
※² 備蓄ナビ(備蓄米のシステムに詳しい)
※³ NHKの調査(備蓄米放出について/放出は2回で、①2011年 [東日本大震災] 流通業者に4万トン|②2016年 [熊本地震] 熊本県に90トン)