Qua station とは
Qua station は 2017年4月に KDDI から発売された 4G LTE搭載のWiFi スト―レージで、auではフォトストレージと称していた。OSは Androidで8GBのeMMCに内蔵されており、データー領域として1TBの2.5インチハードディスクが底面に装着されていた。

2022年に未使用品を入手、ハードディスクを取り外して別途PCで使っていたが、motionカメラサーバー 兼 インターネットラジオとして運用していた Raspberry Pi 2B+ がダウンしたため、代替機として検討した。
Qua station に Linuxをインストールする方法は、某氏の猫空 と tsukumijimaさんのGitHub に詳しく、前者の簡潔で見やすい記述と後者の詳細な情報はすこぶる参考になった。また、ネット検索では見つけにくかったが、Qua鯖 A GUEST APR 19TH, 2020 の記事が秀逸で、eMMCへの導入には欠かせないものだった。この中にに、さらっと書いてある内容はすべて重要な情報だ。
本記事は、パソコンの素人が公開された情報を元に Qua station に ArchLinuxを導入、サーバーとして使っていく過程で、つまづいたこと、うまくいかなかったこと、何とか解決したことなど…についての記録を公開したものです。各自の環境によっては解決策が解決にならない場合もあります。この点をご承知のうえ読んでいただければ幸いです。最後になりましたが、改めて、皆さんに感謝します。
Qua station-Linux機の概要
1)カーネルの選択とルートファイルシステム
Qua station への Linux導入は、BPI-W2-bsp-w2-4.9-v1.0.tar.gz をビルドしたカーネルとルートファイルシステムとしての ArchLinux(ArchLinuxARM-aarch64-latest.tar.gz)または Ubuntu BASE 16.04(Ubuntu-base-16.04.6-base-arm64.tar.gz)が紹介されている。Debian-arm64-rootfs-20170318T102424Z.tar.gz も使えるようだったが、最終的には ArchLinux を導入した。
導入に際して困った点は下記2点で、解決策と共に記しておく。
- ArchLinux で pacmanが動かなかった。
➡ ArchLinux 公式マニュアルに記載された初期設定を正しく行わなかったことが原因。 - Ubuntu BASE 16.04 で各種ツールが入らず、起動後の環境整備ができなかった。
➡ chroot環境が正しくなかったと判明。
2)カーネルは eMMC に / rootfsは 内蔵ドライブ に導入する
①USBメモリ起動 ⇒ ②eMMC+本体内蔵ドライブ起動
Qua station への Linux導入はUSBメモリで始まり、最初の Qua station-Linux機 はUSBメモリ起動となる。この USBメモリで起動した Qua station-Linux機 に最初に施すべき処置は、カーネルをeMMCに、rootfs を本体内蔵ドライブ(当方では ITBHDDを手持ちの40GBSSDに換装している)に移すことだ。Qua鯖さんの記事に従って操作して、eMMC+内蔵ドライブ で起動できるようになると、USBメモリが外せ操作性が向上する。
③USBイーサーネットアダプターとssh接続
続いて実施すべきは、シリアル接続からの解放で、USBイーサーネットアダプターの導入(特殊なものでなければ自動認識される)と sshdの確認だ。ArchLinuxでは sshd は既に動作中で dhcp でIPを受け取っているはずなので、この段階で 有線LANを介したssh接続での update やアプリインストールが行えるようになる。ここで、管理用ユーザーの登録と「sudo」のインストールを行えば、開発効率はアップする。
④無線LANでの接続
最後に、Qua station内蔵の無線デバイスでアクセスポイントに接続すると、Qua station はACアダプタをつなぐだけで動くようになる。無線デバイスは2種類内蔵されている($ lspci)が、tsukumijimaさんのGitHubによると、利用可能なのは 2.4GHz の RTL8192EE とのことだ。ビルド成果の中に対応のカーネルモジュールがあり、これを正しい位置に置けば、デバイスは起動時に有効化される。デバイス有効化後、無線LANの設定が必要だが、これについては「2.Build」「5.WiFi」を参照されたい。
$ lspci
0000:00:00.0 Network controller: Realtek Semiconductor Co., Ltd. RTL8192EE PCIe Wireless Network Adapter
0001:01:00.0 Network controller: Realtek Semiconductor Co., Ltd. RTL8812AE 802.11ac PCIe Wireless Network Adapter (rev 01)
3)注意事項
- 8GBのeMMCなので、rootfsを含めての 完全eMMC運用 は実用上難しい。
- ArchLinux最新版のネットワークツールは netctlだが、今回使用した ArchLinux では systemd-networkd だった。
- ArchLinux には alarm という初期ユーザーがあるがこれは使わない。
導入手順 — ⑴ U-boot
Linux導入に当たって、最初に行うことは Qua station 側の準備で、具体的には Qua station 起動用「u-boot」 に 待機時間を与えることだ。
- USBシリアルアダプタ(CH340など)でパソコンと Qua Stationを接続する。
接続端子については某氏の猫空を参照してください。写真付で紹介されています。 - Windowsを使う場合は、Teratermで接続(115,200bps|Parity none|Stop bit 1)
- Qua station 起動時に、ESCキー連打→u-boot に入り、下記コマンドでpauseを加える。
Realtek > env set bootdelay 5 (これで5秒ポーズ)
Realtek > env save - この操作でUSBメモリからの起動コントロールが容易になる。